おでかけ

ペットホテルに預ける|選び方と、預ける前にやっておくこと

出典あり

砂利敷きの運動場で、スタッフのまわりに集まる小型犬たち
Photo: Canine To Five(CC BY 2.0, Wikimedia Commons)

旅行、出張、入院、冠婚葬祭。犬と暮らしていれば、どこかで必ず「数日間、家を空ける」場面が来ます。

そのときに慌てて探すと、たいてい良い選択ができません。ペットホテルは、預ける必要が出てから探すものではなく、迎えたときに決めておくものです。

そして、施設選びと同じくらい大事なのが犬の側の準備です。どんなに良い施設でも、クレートに入ったことがない犬、知らない人に触られたことがない犬にとって、初めての宿泊は苦痛になります。

ペットホテルを選ぶときに見学で確かめる5つのこと。1登録番号が掲示されているか。2ワクチン証明を求められるか。3預かり中に1日どう過ごすか。4体調が崩れたときの手順。5においと犬たちの様子

この記事で学べること

  • ペットホテルが法律上どう位置づけられていて、何を確かめれば安全側に寄れるか
  • 見学で見る5つのこと
  • 預ける前の1か月でやっておく練習
  • 持っていくもの、伝えること
  • 帰ってきた後の様子の見方と、次に活かすこと

今日やることは1つ。 家のクレートで、愛犬にごはんを食べさせてください。クレートが「閉じ込められる箱」ではなく「ごはんが出る場所」になっているかが、預けられるかどうかの分かれ目です。

記事執筆における出典

ペットホテルの情報は施設の宣伝が中心で、飼い主側の準備について書かれたものが少ないと感じました。もとにした資料を先に示します。

  • 法律上の位置づけ ── 環境省「動物の愛護と適切な管理」。ペットホテルは動物愛護管理法の第一種動物取扱業(保管)にあたり、登録と標識の掲示が定められています
  • 預ける前の準備と、施設の選び方 ── アメリカンケネルクラブ(AKC)「Dog Boarding Tips」。犬種登録団体が出している飼い主向けの解説です
  • クレートと落ち着きの練習 ── BAUDOGのカリキュラム(ハウス、落ち着いて)
  • 手順の組み立て ── 上記の資料をもとに、BAUDOGが構成しました

料金や条件は施設ごとに違います。 ここには書けません。必ずその施設に確認してください。

まず、法律上の位置づけを知っておく

日本でペットホテルを営むには、動物愛護管理法にもとづく第一種動物取扱業(保管)の登録が必要です。登録した事業者は、登録番号と動物取扱責任者の名前を、見える場所に掲示することが決められています。

つまり、掲示がない施設は、法律上の登録をしていない可能性があるということです。ここは最初に見てください。

登録は「安全である」の保証ではありません。ただ、最低限の基準を満たしていることの証明ではあります。ここを通っていない施設に預ける理由はありません。

受付に掲示された登録番号と動物取扱責任者の札を、最初に確かめる Illustration: BAUDOG(生成画像)

見学で見る5つのこと

電話やウェブサイトでは分からないことばかりです。預ける前に、必ず一度は中を見せてもらってください。 見学を断る施設は、それだけで候補から外して構いません。

見学で見ること。受付の登録番号、預かり中の過ごし方(ケージと散歩)、体調が崩れたときの病院 Illustration: BAUDOG(生成画像)

1. 登録番号が掲示されているか

上に書いたとおりです。受付や入口を見てください。

2. ワクチン証明を求められるか

求めない施設は、他の犬の証明も確認していないということです。感染症のリスクは、自分の犬が打っているかどうかだけでは決まりません。

3. 預かり中、1日どう過ごすか

  • ケージやお部屋の大きさ。愛犬が立って回れるか
  • 散歩は1日何回、何分か。誰が行くか
  • 夜間に人がいるか。いないなら、何時から何時まで無人か
  • 他の犬と一緒に過ごす時間があるか。あるなら、相性はどう見ているか

具体的に答えられるかどうかを見てください。「ちゃんと見ています」は答えではありません。

4. 体調が崩れたときの手順

  • 提携している動物病院はどこか
  • どの段階で飼い主に連絡するか
  • 連絡がつかないとき、治療の判断は誰がするか

これを預ける前に決めておかないと、いざというときに施設も動けません。

5. においと、犬たちの様子

数字にならない、いちばん確かな情報です。

掃除が行き届いているか。中の犬が吠え続けていないか、落ち着いて休めているか。慣れた施設の犬は、意外なほど静かです。 ずっと吠え声が響いている施設は、犬が落ち着けていないということです。

預ける前の1か月でやっておくこと

施設が決まっても、犬の側の準備がなければ初日は苦痛になります。

時期やることなぜ
1か月前〜クレートでごはんを食べさせる。扉を開けたまま出入りさせる預かり中の居場所が「安心の場所」になる
3週間前〜家族以外の人に、おやつを渡してもらう知らない人に触られる経験を、良い印象で作る
2週間前〜半日だけ預ける(一時預かり)初めての宿泊を、いきなり3泊にしない
1週間前持っていくものをそろえる。フードは普段のものを日数分環境が変わる時期に食事まで変えない
前日いつもどおり過ごす。特別なことをしない飼い主の緊張は犬に伝わる

半日の一時預かりを1回はさむのが、いちばん効きます。初めて泊まる日が、初めてその場所に来た日、にならないようにしてください。

分離不安の傾向がある犬は、この準備をもっと長くとります。犬が留守番できない時の練習法を先に読んでください。

預ける前の1か月。クレートでごはん、家族以外からおやつ、半日の一時預かり、持ち物をそろえる、前日はいつもどおり Illustration: BAUDOG(生成画像)

持っていくもの、伝えること

持っていくもの

  • 普段のフード(日数分+1日分)。計量した袋に分けておくと施設が楽
  • 飲み慣れた薬、サプリがあれば、投与の時間と量を書いたメモと一緒に
  • ワクチン証明、狂犬病予防注射の証明
  • 家のにおいのついたタオルかおもちゃを1つ(施設が許可していれば)

伝えること

  • 普段のごはんの時間と量、食べ方(早食い、残す、など)
  • 排泄の習慣。トイレはシーツか外か
  • 苦手なもの(大きな犬、男性、掃除機の音、など)
  • 触られるのを嫌がる場所
  • かかりつけの動物病院と、緊急連絡先

「うちの子は大丈夫です」は伝えないでください。 苦手なことを正直に伝えるほうが、施設は対応できます。

持っていくもの。日数分に小分けしたフード、薬とメモ、証明書、家のにおいのついたタオル Image: AI生成(BAUDOG)

帰ってきた後

帰宅後の数日は、いつもと違う様子が出ることがあります。

  • よく寝る。ぐったりして見える ── 緊張から解けた反応で、多くは1〜2日で戻ります
  • 食欲が落ちる、下痢をする ── 環境の変化によるもの。2〜3日続くなら受診を
  • そっけない、または逆にべったり ── どちらも普通です

様子がおかしいことを、施設のせいだと決めつけないでください。 ただ、次回どうするかを考える材料にはなります。帰ってきた後の様子を、次に預けるときに施設へ伝えると、対応が変わります。

帰ってきた後の二日間に見ること。水を飲むか、ごはんを食べるか、ぐっすり眠るか Illustration: BAUDOG(生成画像)

うまくいかないとき

クレートに入らない ── ごはんをクレートの中で食べさせるところに戻ります。入り口に置く、少し奥に置く、と1週間かけて進めます。

一時預かりで吠え続けた ── まだ早いサインです。宿泊は延期して、知らない人・知らない場所の経験を、短い時間で積み直します。

預けたあと、体調を崩した ── まず受診。そのうえで、施設に帰宅後の様子を伝えてください。次回の預かり方が変わります。

相談を考える目安

  • 帰宅後の食欲不振や下痢が3日以上続く
  • 帰宅後、以前はなかった留守番中の吠えや破壊が出るようになった
  • 預けることを想像するだけで、飼い主が離れる場面でパニックになる

体調のことは動物病院へ。行動のことは、陽性強化を用いる行動の専門家へ相談してください。

最後に

ペットホテルは「預ける」ものではなく、犬にとっては**「泊まってくる」**ものです。その違いは、施設の質と同じくらい、前の1か月の準備で決まります。

まず、家のクレートでごはんを食べさせるところから。そして、預ける必要が出る前に、見学に行っておいてください。

出典