散歩

呼んでも来ない犬の呼び戻しの教え方

出典あり

雪の上をこちらへ走ってくる長毛の犬
Photo: planetary_nebula(CC BY 3.0, Wikimedia Commons)

呼び戻し(おいで)は、道路への飛び出しや他犬とのトラブルから犬を守る、命に関わる最重要スキルです。「呼んでも来ない」には、ほぼ決まった原因があります。

今日やることは1つ。 静かな室内で「カム」(今の号令が汚れているなら新しい語)→即ご褒美、を10回だけ結びつけ直してください。それだけです。

呼び戻しが効かなくなる4つの原因

  1. 呼んでから嫌なことをした:来たら爪切り・帰宅・遊び終了…。「おいで=嫌なことの合図」になると来なくなります。
  2. 来ても見返りが少ない:戻るより、その場のにおい嗅ぎの方が楽しいと学習している。
  3. 難しすぎる場面で使った:ドッグランなど誘惑だらけの所でいきなり呼んでいる。
  4. 来なかったのに追いかけた:追いかけっこが報酬になり、逃げる癖がつく。

呼び戻しは誘惑を段階で上げる。室内、庭、静かな公園、犬のいる公園の順に、飼い主のもとへ走る練習を積む

どの原因か、見分け方

様子疑われる原因やること
呼ぶと固まる・逃げる方向に走る号令が汚れている(原因1)号令を新しくして充電し直す
呼んでも顔も上げない見返りが足りない(原因2)ご褒美のランクを上げる。ジャークポットを大きくする
屋内では来るが屋外だと来ない難易度が急すぎる(原因3)ロングリードで距離と誘惑を1段階戻す
呼ぶと嬉しそうに逃げ回る過去に追いかけられた(原因4)逆方向へ走って犬に追わせる形に変える

複数当てはまる場合は、まず号令のリセット(原因1)から着手してください。 ここが汚れたままだと、他をいくら直しても土台が崩れます。

飼い主に向かって走ってくる犬 Photo: Gabyrlo(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)

教え直しの手順

  1. 語をリセットして充電する:これまでの「おいで」が汚れているなら、新しい語(例:「カム」)にする。語を言う→ご褒美、を結びつけ直す。マーカーを使うとタイミングが正確になり、覚えが早まります。
  2. ロングリード(3〜5m)を付ける:安全を確保したうえで、絶対に来られる距離から呼ぶ。詳しい段階はおいで(呼び戻し)に。
  3. 来たら必ず・大げさにほめる:戻った瞬間にジャックポット(特別なおやつ複数)。「戻る=最高」を毎回作る。
  4. 来なかったら追わない:リードをたぐって静かに誘導。叱らない。
  5. 誘惑を少しずつ上げる:下の表を目安に一段ずつ進める。

呼び戻しを教え直す五段階。言葉を変える、長いリード、来たら大げさにほめる、来なくても追わない、誘惑は少しずつ Illustration: BAUDOG(生成画像)

誘惑を上げる目安

無理に進めると原因3(難しすぎる)に逆戻りします。次の段階に進むのは、今の段階で10回中8〜9回戻ってきてから。

段階場所の例次に進む目安
1静かな室内10回中8回以上、即座に戻る
2庭・ベランダ他のにおいがあっても戻る
3人のいない公園人が遠くを通っても気が散らない
4人がいる公園(他犬は遠く)呼ぶ前に自分から様子を見に来る
5他犬が視界に入る距離ここまで来れば実用レベル

8〜9回に届かないまま次へ進まない。 1段階戻ってやり直すほうが、結果的に早く仕上がります。

絶対に守るルール

  • 来た犬は、たとえ遅くても絶対に叱らない。遅れて来た犬を叱ると「行かない方がマシ」と学びます。
  • 呼び戻しの語を、帰宅・通院・叱りに使わない。良いことだけに紐づける。
  • 名前は「注目」、呼び戻しは「来る」と役割を分ける(名前への反応参照)。

緊急用の呼び戻し語を別に持つ

普段の「おいで」とは別に、最高のご褒美だけに使う緊急語を1つ用意します。月に数回、抜き打ちで使い、来たら必ずジャックポット。ここぞの場面(飛び出しそう等)の保険になります。

月齢・状況別の見通し

時期・状況起きることやること
子犬(〜4か月)まだ範囲が狭く、いちばん教えやすい時期今のうちに号令を汚さず育てる。誘惑の少ない場所から
思春期(4〜18か月)独立心が育ち、呼んでも来ない場面が増える叱らず、誘惑の段階を1つ戻して立て直す。長期戦の心づもりで
一度崩れた呼び戻しの立て直し号令へのやる気が下がっている新しい号令への切り替えに2〜4週間はみる

やってはいけないこと

  • 来なかったからと近づいて叱る。近づかれること自体が嫌なことの合図になり、次から距離を取るようになります
  • リードを強く引いて手繰り寄せる。痛み=呼び戻しの結果、と学習してしまいます
  • ノーリードを急ぐ。誘惑を上げる目安(上表)の8〜9割に届く前に外すと、失敗が「呼んでも従わなくてよい」学習になります
  • 「おいで」を連呼する。最初の数回で来なければ、無視してよいと学習します。1回呼んで待つ

呼び戻しでやってはいけない三つ。来た犬を叱る、呼んでから嫌なことをする、名前を連呼する Illustration: BAUDOG(生成画像)

うまくいかないときの見極め

多くは号令のリセットと誘惑の段階分けで2〜4週間のうちに改善します。次に当てはまる場合は、家庭での練習だけで進めず、獣医師か行動の専門家に相談してください。

  • シニア犬で、名前を呼んでも振り向く様子すらない(聴力の低下が疑われます)
  • 呼ぶと怯えて隠れる・体を固くするなど、恐怖が見える
  • 特定の音や状況の後から急に反応しなくなった
  • 誘惑の段階を大きく戻しても、まったく改善が見えない

よくある質問

号令を変えると前の「おいで」は使えなくなりますか 使えます。汚れていない場面(誰もいない室内など)では併用して構いません。新しい号令は誘惑がある場面から使い始めてください。

おやつなしでも来るようになりますか なります。毎回ではなく、たまに大きなご褒美(変動強化)に切り替えていくと、おやつが無い場面でも戻る習慣が保たれます。

多頭飼いで1頭だけ来ません 呼ぶ前にその犬の名前を言って注目を取ってから号令を出してください。他の犬が先に来て終わってしまうと、その犬の練習機会自体が減ります。

1週間で取り組む

それでも来ない・興奮が強いケースは呼んでも来ないを参考にしてください。

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