サモエド

サモエドの飼い方|性格・暮らし・気をつけること

出典あり サモエドの記事一覧 →

人工芝の上で尻尾を巻き上げて立つ、真っ白なサモエド
Photo: Dllu(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)

サモエドは、口角が上がった「笑顔」に見える顔で知られます。真っ白で、大きくて、人が好き。写真で見て迎える人が多い犬種です。

ただ、この犬はもともとシベリアの極寒の地で、そりを引き、氷点下の屋外で眠るために作られた犬です。AKCはその来歴を明記しています。

それを日本の住宅で飼うと、3つの壁があります。夏、抜け毛、声。 「白くてかわいい」で迎えると、この3つで行き詰まります。逆に、3つを迎える前に知っていれば、明るくて社交的な、とてもいい犬です。

サモエドを日本で飼うときの3つの壁。夏:密な二重の被毛は断熱材、散歩は早朝と夜、エアコンは夏じゅう、刈らずに下毛を抜く。抜け毛:換毛期は毛が降る、週2〜3回、換毛期は毎日。声:よく鳴き声が大きい、ひとりが苦手、迎えた日からひとりでいる練習

この記事で学べること

  • サモエドの大きさ・体重・寿命が、公的な犬種情報でどう書かれているか
  • 日本の夏をどう乗り切るか。刈っていいのか
  • 抜け毛の実際と、手入れの量
  • よく鳴く犬種と、ひとりが苦手なこと
  • 股関節のこと、受診を考える目安
  • 迎える前に、家で確認すること

今日やることは1つ。 夏にエアコンを一日中つけておける部屋があるか、確認してください。この犬種にとって、それは贅沢ではなく前提です。

記事執筆における出典

サモエドは「笑顔」「白い」で語られがちで、極寒の地の犬を日本で飼う現実が抜けやすい犬種です。もとにした資料を先に示します。

  • 大きさ・体重・寿命・気質・来歴 ── アメリカンケネルクラブ(AKC)の犬種情報
  • 股関節形成不全 ── OFA(Orthopedic Foundation for Animals)の解説
  • しつけと吠えの考え方 ── 米国獣医行動学会(AVSAB)の声明。罰を用いる手法を推奨していません
  • 暮らしの組み立てと手順 ── 上記の資料をもとに、BAUDOGが構成しました

診断や治療には踏み込みません。 どうなったら病院か、までを書きます。

数字で見るサモエド

AKCの記載
体高オス 21〜23.5インチ(約53〜60cm)/メス 19〜21インチ(約48〜53cm)
体重オス 45〜65ポンド(約20〜29kg)/メス 35〜50ポンド(約16〜23kg)
寿命12〜14年
犬種人気210犬種中53位(米国)

20〜29kgの大型犬です。写真の印象より大きく、力も強い。散歩で引かれたときに止められるかは、迎える前に考えておくことです。

1. 夏 ── この犬種のいちばん大きな課題

サモエドの被毛はダブルコート(上毛と下毛の二重)で、下毛がとても密です。氷点下で眠るための断熱材です。それが日本の夏では、熱を逃がさない毛布になります。

  • 散歩は早朝と夜。 日中は出さない。アスファルトが冷めるまで待つ
  • エアコンは夏じゅう。 「風通しがいいから」は、この犬種には通用しません
  • 車内に残さない。 数分でも
  • 水遊びが向いています。 夏の運動は水辺で

日本の夏の過ごし方。散歩は早朝と夜、エアコンは夏じゅう、車内に残さない、運動は水遊び Illustration: BAUDOG(生成画像)

刈っていいのか

「暑そうだから丸刈りに」は、慎重に考えてください。ダブルコートの犬種で下毛まで刈ると、毛質が変わったり、元どおりに生えてこないことがあるとされています。また、被毛は日差しから皮膚を守る役目もしています。

涼しくするなら、刈るのではなく、下毛を抜く(アンダーコートの手入れ)方向で、トリマーに相談してください。

急ぐサイン

舌が濃い赤〜紫、呼吸が荒く落ち着かない、よだれが急に増える、ふらつく。見たらその場で涼しい場所へ移し、動物病院に連絡を。 大型犬の熱中症は、体が大きいぶん冷えるのにも時間がかかります。

2. 抜け毛 ── 「毛が降る」

年に2回の換毛期には、下毛がまとまって抜けます。数週間、掃除の量が別物になります。 「白い毛が家じゅうにある」が普通の状態になります。

  • 週2〜3回、換毛期は毎日ブラッシング
  • 脇の下、耳の後ろ、お尻。この3か所は毛玉になりやすい
  • 下毛まで届くブラシを使う。表面をなでるだけでは抜けた毛が中に残り、蒸れて皮膚が荒れます

3. 声 ── よく鳴き、声が大きい

サモエドは、よく鳴く犬種として知られています。吠える、遠吠えする、「話す」ような声を出す。声も大きい。

そして、人が好きで、ひとりが苦手です。この2つが組み合わさると、留守番中の吠えとして出ます。集合住宅では、これが近所との問題になります。

対策は、迎えた日から始めます。

  • クレートでごはんを食べさせ、自分から入る場所にする
  • 同じ部屋で別のことをする時間を作る。ずっと構い続けない
  • 数秒だけ部屋を出て戻る。泣く前に戻る。これを少しずつ伸ばす
  • 静かにを、吠えが定着する前に教える

留守番の練習は犬が留守番できない時の練習法に。

「ひとりでいても大丈夫」を積む三段階。クレートでごはん、同じ部屋で別のこと、数秒出て戻る Illustration: BAUDOG(生成画像)

気をつけたい体の部位

股関節 ── OFAは股関節形成不全について繁殖前の評価制度を運用しています。大型犬なので、子犬期(〜1歳半)は関節が完成するまで激しいジャンプや長距離の走り込みを避けます。迎えるときに親犬の評価を聞けるか確認を。

体重 ── 大型犬の関節は、体重で守ります。一生、計ってください。

皮膚 ── 密な被毛の下は蒸れやすい構造です。かゆがる、赤い、においがするなら受診を。

芝生の上で口を開けて立つ、白いサモエド Photo: Dllu(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)

実践:迎える前と、最初の1年

時期やることなぜ
迎える前夏じゅうエアコンをつけておける部屋前提条件
迎える前下毛まで届くブラシ。掃除機の頻度を2倍で見積もる抜け毛は想像の上を行く
迎える前集合住宅なら、声の大きい犬種だと家族で共有留守番の吠えは近所の問題になる
1〜2週目静かに眠らせる。クレートでごはんひとりでいる土台
2〜4週目数秒の「いない時間」を作る。ブラシを見せておやつ留守番と手入れの下地
1か月目マーカー、静かに吠えが定着する前に
3か月目落ち着いて待つを練習興奮しやすい犬種
〜1歳半激しいジャンプと走り込みを避ける関節が完成するまで

雪の中を走ってくるサモエド Photo: Johnjptraynor(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)

うまくいかないとき

留守番中に吠える ── ひとりでいる練習が足りていません。数秒から積み直します。近所への配慮として、練習中は時間帯を選んでください。

夏に元気がない ── 暑さです。室温を下げ、散歩の時間帯を見直してください。それでも元気がないなら受診を。

ブラッシングを嫌がる ── 毛玉が引っぱって痛い経験があります。毛玉はトリマーに。今日は背中だけ、10秒で終わり、から積み直します。

散歩で引かれて止められない ── 20kg超の犬に引かれると転びます。散歩でリードを引っ張る犬のしつけ方を、体が大きくなる前に。

相談を考える目安

  • 舌が濃い赤〜紫、呼吸が落ち着かない、ふらつく(急ぎ)
  • 皮膚が赤い、かゆがる、においがする
  • 走ったあとに後ろ足をかばう、立ち上がるのが遅い
  • 留守番中の吠えが、練習しても数週間まったく減らない

体のことは動物病院へ。行動のことは、陽性強化を用いる行動の専門家へ。

最後に

サモエドは、極寒の地の犬です。日本で飼うなら、夏・抜け毛・声の3つを、迎える前に引き受ける覚悟がいります。

それができる家庭にとっては、明るくて、社交的で、家族の輪の真ん中にいたがる、とてもいい犬です。まず、夏のエアコンの話から家族で始めてください。

出典