支配性理論
犬の問題行動を順位争いとみなし、力で従わせる考え方と、それが勧められない理由。
支配性理論とは、犬が困った行動をするのは群れの中で上の順位を得ようとしているからで、飼い主が「リーダー」「アルファ」として力で上に立つ必要がある、という考え方です。この考え方からは、犬をあお向けに押さえつける(アルファロール)、強くにらむ、リードを強く引くといった対決的な方法が生まれました。米国獣医動物行動学会(AVSAB)は、この理論を行動修正の一般的な指針として使うことを勧めないと公式に表明しています。
理由の一つは、飼い主が困る行動のほとんどが順位とは関係ないことです。むだ吠え、飛びつき、呼んでも来ないといった行動は、多くの場合、知らないうちにごほうびが与えられてきたことと、代わりの望ましい行動を教えていないことが原因です。さらに、威圧や罰は犬の恐怖や不安を強め、それが原因の攻撃行動をかえって悪化させるおそれがあります。犬どうしの関係も、単純な一直線の順位で決まっているわけではないとされています。
AVSABは、リーダーシップとは力で従わせることではなく、望ましい行動をほめ、望ましくない行動がごほうびにならないようにして、ルールを分かりやすく伝えることだとしています。家では「犬が上に立とうとしている」と考える前に、その行動で犬が何を得ているのかを考えてみましょう。うなる・かむなどの攻撃的な行動がある場合は、獣医師による診察を受け、獣医行動診療医や認定トレーナーに相談してください。
例
ソファから降ろそうとするとうなる犬。「順位を思い知らせる」ために押さえつけるのではなく、まず体の痛みがないかを動物病院で確認します。そのうえで、留守中や目を離すときはソファに上がれないようにし、「オフ」やベッドに行く行動をおやつと交換で教えます。対決せずにソファから降りられるようになり、うなる場面そのものが減っていきます。
よくある間違い
- うなる・言うことを聞かない理由を、すべて「犬が自分を下に見ているから」と考える
- アルファロールや大声、リードを強く引くことで「上下関係」を教えようとする


