賢い犬種ランキング|しつけしやすい犬を日本で多い犬種で比べる(コレンの順位とAKCの評価)
初めて犬を飼うから、しつけがしやすい賢い犬がいい。そう考えて「賢い犬種ランキング」を調べると、サイトごとに順位も犬種の数もばらばらで、何を信じればいいか分からなくなります。
先に答えを書きます。よく見る「賢い犬ランキング」の多くは、心理学者スタンレー・コレンが1994年の本で発表した順位がもとです。これはドッグスポーツの審査員199人に「指示をどれだけ早く覚えて、従うか」を聞いた調査で、1位はボーダーコリー、2位はプードルでした。
日本で多い犬種を、AKCの「しつけの入りやすさ」の評価で並べると、いちばん上の段(5)は、トイプードル・ミニチュアシュナウザー・ゴールデンレトリバー・パピヨン・ラブラドールレトリバー・ボーダーコリー・シェットランドシープドッグ・日本スピッツ・スタンダードプードルの9犬種です。
ものさししつけの入りやすさ(AKCの5段階評価・高い順)
小型犬中型犬大型犬
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この記事で学べること
- 「賢い犬種ランキング」が、何を測った順位なのか
- 日本で多い36犬種の、しつけの入りやすさの順番(大きさ別も)
- 賢い犬ほど大変なこと
- 柴犬やチワワが低い段にいる理由と、どの犬種でも覚えられる教え方
今日やることは1つです。どの犬種を迎えるにしても、「できた瞬間を知らせる合図」=マーカー を先に覚えておいてください。しつけの入りやすさは、犬種よりこの合図の使い方で変わります。
記事執筆における出典
順位の歴史は、コレン本人が書いた解説(Psychology Today)にもとづきます。日本で多い犬種の段は、AKC(アメリカンケネルクラブ:米国最大の犬種登録団体)が犬種ごとに公開している「しつけの入りやすさ(Trainability)」の5段階評価です。対象は、日本のペット保険アニコムの『家庭どうぶつ白書2025』で頭数の多い犬種(AKCの評価が無いカニーンヘン・ダックスフンドを除く36犬種)。犬種と行動の関係は、2022年の『Science』の研究を使います。犬の知能を人の年齢に置きかえる話や、知能テストのやり方には踏み込みません。
「賢い犬ランキング」は何を測ったのか
コレンは、アメリカとカナダのケネルクラブで服従競技(オビディエンス)を審査している人たちに調査をしました。北米の審査員およそ398人のうち、約半分の199人が答えています。審査員は同じ条件で多くの犬の動きを見ているので、犬種ごとの「覚えの早さ」を比べられる、という考え方です。
コレンによると、ボーダーコリーは199人中190人が上位10犬種に入れました。コレンが挙げた上位10犬種は次のとおりです。
- ボーダーコリー
- プードル
- ジャーマンシェパード
- ゴールデンレトリバー
- ドーベルマン
- シェットランドシープドッグ
- ラブラドールレトリバー
- パピヨン
- ロットワイラー
- オーストラリアンキャトルドッグ
大事なのは、これが**「人の指示を覚えて従う力(作業・服従の賢さ)」だけを測った順位**だということです。においで獲物を探す力や、自分で考えて動く力のような、ほかの種類の賢さは入っていません。順位が低い犬種が「頭が悪い」という意味ではありません。
日本で多い犬種:大きさ別
コレンの順位には、日本で多い犬種が載っていないものもあります。ここでは、日本で多い犬種をAKCの評価でそろえて比べます。
ものさししつけの入りやすさ(AKCの5段階評価・高い順)(小型犬)
ものさししつけの入りやすさ(AKCの5段階評価・高い順)(中型犬)
ものさししつけの入りやすさ(AKCの5段階評価・高い順)(大型犬)
コレンの上位10犬種のうち、日本で多い犬種(ボーダーコリー・プードル・ゴールデンレトリバー・シェットランドシープドッグ・ラブラドールレトリバー・パピヨン)は、AKCの評価でもすべて5の段に入っています。2つの物差しは、おおむね同じ方向を向いています。
柴犬が低い段にいるのはなぜ?
日本で多い犬種でただひとつ「2」の段にいるのが柴犬です。2022年に『Science』に載った研究でも、ボーダーコリーは人の指示に従いやすく、柴犬はかなりそうではない、という犬種の傾向が出ています。
これは柴犬が「覚えられない」という意味ではありません。柴犬は、自分で判断して動くことを好む、独立心の強い犬種です。何度も同じことを繰り返させられるのが苦手で、やる意味が分かる教え方をすると、ちゃんと覚えます。短い練習で、できたらすぐごほうび。これは柴犬に限らず、AKCの評価が3のチワワ・ポメラニアン・マルチーズなどにも当てはまります。
賢い犬ほど大変なこと
「覚えるのが早い」は、良いことも困ったことも、同じ早さで覚えるということです。
- 退屈すると、自分で遊びを作る。 ボーダーコリーやプードルは、頭を使う遊びや練習が足りないと、いたずらで発散しがちです。
- こちらの一貫性が問われる。 家族で合図やルールが違うと、それもすぐ覚えます。
- 運動量が多い犬種もいる。 ボーダーコリーはAKCの運動量の評価も5(とても多い)です。
賢い犬種を迎えるなら、毎日の鼻を使う遊びや、短いトレーニングの時間を、暮らしの中に最初から入れておきましょう。
どの犬種でも覚える教え方
同じ研究で、犬の行動の違いのうち犬種で説明できるのは約9%でした。しつけの入りやすさは、犬種より教え方で大きく変わります。
- できた瞬間に合図→ごほうび。 遅れると、何をほめられたか分かりません。
- 1回の練習は数分。 できたことで終わります。
- 叱らない。 体を押して姿勢をとらせない。
- できなくなったら1つ前に戻る。
最初に教える順番は子犬のしつけは何から?にまとめています。
よくある質問
いちばん賢い犬種は何ですか? コレンの調査(1994年)では、指示を覚えて従う力の1位はボーダーコリーでした。審査員199人中190人が上位10犬種に入れています。日本で多い犬種を AKC の「しつけの入りやすさ」で比べると、ボーダーコリーを含む9犬種が5の段に並びます。
賢い小型犬はどれですか? AKCの評価で5の小型犬は、トイプードル・ミニチュアシュナウザー・パピヨン・シェットランドシープドッグ・日本スピッツです。
柴犬は何位ですか? 日本で多い36犬種のなかで、AKCの「しつけの入りやすさ」が2なのは柴犬だけです。独立心が強く、繰り返しの練習が苦手な傾向がありますが、教え方を合わせればきちんと覚えます。
賢い犬は初心者に向いていますか? 覚えは早いですが、頭を使う遊びや運動が足りないと困った行動も早く身につきます。毎日の練習と遊びの時間を取れる家庭なら、初心者でも楽しく暮らせます。
最後に
「賢い」は、「こちらの伝え方がそのまま結果になる」ということです。犬種の順位は、どれくらい頭と体を使う時間を用意すればいいかの目安として使ってください。最初に変化が見えるのは、マーカーの音に愛犬がぱっと振り向いた瞬間です。
ほかの条件でも比べたいときは、犬種ランキングの比較表で並べ替えられます。
出典
- Canine Intelligence — Breed Does Matter(Stanley Coren, Psychology Today, 2009) ── 審査員199人の調査、上位10犬種
- Dog Breeds — 各犬種のTrainability Level / Energy Level(American Kennel Club)
- Morrill K et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes(Science, 2022)
- Contrary to popular belief, your dog’s breed won’t predict its behavior(Phys.org, 2022) ── ボーダーコリーと柴犬の傾向、約9%
- アニコム 家庭どうぶつ白書2025(アニコム損害保険、PDF) ── 対象にした犬種


