マーカー
初級号令:Yes(またはクリッカー)
すべてのトレーニングの最初の一歩。正解の瞬間を犬に正確に伝える道具を作る。
最初に教えるのは「おすわり」「ふせ」「まて」「おいで」「ゆるリード」の5つ。その前に、正解を伝える「Yes」と、名前への反応を土台にすると、どのコマンドも早く伝わります。このページでは、しつけで教えるコマンド(号令)全46種を、教える順番・教え方の要点・号令とハンドサインで一覧にしました。
今日やることは1つ。静かな部屋で「Yes」と言って、すぐにおやつ。間隔をバラバラにして10〜20回。「Yes」でパッとこちらを見たら、マーカーの準備は完了です。
この一覧の出典:ごほうびで正解を教える陽性強化の方法にもとづき、AKC(アメリカンケネルクラブ)、コーネル大学 Riney Canine Health Center、Whole Dog Journal などの資料をもとに構成しています。各コマンドの出典は、それぞれのページに載せています。咬みつき・強いおびえ・急な行動の変化は、しつけだけで解決しようとせず、動物病院や行動の専門家に相談してください。
AKCが子犬の基本として挙げる5つです。並びは、BAUDOGが教える順番にそろえました。
その前に:土台の2つ
各コマンドには「先に覚えておくこと」があります。たとえば「まて」はおすわりと終わりの合図(OK)の後、「おいで」は名前に反応できてから。その前後関係を守って並べると、こうなります。週はお迎えからの目安で、成犬なら順番だけ使ってください。任意の印は、飛ばしても先に進めるステップです。
お迎え初日から
1〜2週目
2〜3週目
3〜4週目
4週目〜
1〜2か月
基本ができてから、必要に応じて:横になる・台に乗る・口輪に慣らす。トリックは好きな順で:おまわり・ゴロン・ハイタッチ・バイバイ・ごあいさつ・バーン・おねだり・おはなし・バック・さがせ。
イラストがあるコマンドは、実際のポーズとハンドサインをそのまま見てください。まだイラストが無いコマンドは「はじめの一歩」と「Yesを言う瞬間」を文章で抜き出しています。正解の瞬間に「Yes」→ごほうび、が全コマンド共通の教え方です。手順の続きと、うまくいかないときの対処は各ページにあります。(イラスト:AI生成/BAUDOG)
号令:Yes(またはクリッカー)
すべてのトレーニングの最初の一歩。正解の瞬間を犬に正確に伝える道具を作る。
号令:OK / フリー / ブレイク / ヨシ
「まて」「ハウス」などの停止系を“いつ終わってよいか”犬に伝える。停止系とセットで最初に教える。
号令:(犬の名前)
注意を引き戻す全ての基本。名前は“こちらを見て・確認して”の合図であり、特定の動作の号令ではない。
号令:Watch / 見て
他の犬や刺激の多い場面で、持続的に自分に注目させたい時。反応性の管理の基礎。
号令:Touch / タッチ
誘導・呼び戻しの補助・苦手な物への慣らし・来客時の飛びつき回避まで使える万能スキル。
号令:Sit / おすわり / スワレ
ごはんの前、信号待ち、来客のときなど、犬を落ち着かせたい場面で広く使えます。
号令:Down / ふせ
カフェ・病院の待合室など、長時間おとなしくしてほしい場面。まて・落ち着けの土台。
号令:Stand / たて / スタンド
動物病院の診察・グルーミング・足拭き・体のチェック。
号令:Stay / まて
ドアの開閉時・来客時・食事の準備中など、その場で待たせたい時。安全行動。
号令:Wait / 待って
ドアの前・車から降りる時・横断歩道。突進を防ぐ衝動制御。
号令:プレイス / マット
来客時・食事中・犬にリラックスしてほしい場面。持ち運べる“安全基地”になる。
号令:Settle / 落ち着いて / リラックス
興奮している時・来客時・外出先。これは“姿勢”ではなく“本当に落ち着いた状態”を作る。
号令:Come / おいで
ドッグランで呼び戻す・危険を回避する・リードが外れた時。最重要の“命を守る”合図。
号令:Leave it / やめなさい
拾い食い防止・他の犬への突進防止・落ちた薬や危険物の回避。安全行動。
号令:Drop it / 出して
危険な物を咥えた時・遊び中のボール交換・誤飲防止・資源ガード予防。
号令:Off / オフ / オリテ
人への飛びつき防止・ソファやカウンターから降ろす。
号令:Let's go / 行こう
通常の散歩。リードがたるんだ状態で歩く(犬はリードの範囲で匂い嗅ぎしてよい)。
号令:Heel / ヒール / つけ
人混み・他の犬とのすれ違い・横断歩道。左側の正確な位置で歩調を合わせて歩く。
号令:ワンツー / トイレ
お迎え初日からの最重要管理。決まった場所・号令で排泄でき、外出や就寝の前に促せるようにする。
号令:ハウス
安全基地・睡眠・留守番・移動(通院/車/災害時)の土台。号令で自分からクレートに入れるようにする。
号令:なし(飛びつかない“デフォルト行動”。座って出迎えさせる時は「すわれ」)
来客・出迎え・散歩中のすれ違いで人に飛びつかない。飛びつきの“代わりに”4本足/座を強化する。
号令:Give / ちょうだい
くわえた物を“手のひらに”渡させる。もってきて(持来)の仕上げや、回収・受け渡しに使う。地面に落とす「出して」と違い、手に乗せるのがゴール。
号令:Fetch / もってきて / とってこい
投げた物を追い、くわえて手元へ持ち帰る。運動欲求の発散・雨の日の室内運動・知的刺激に最適。引っ張りっこやちょうだいとセットで完成する。
号令:Quiet / 静かに / シー
吠えを“号令で止める”。来客・インターホン・要求吠えに。吠え自体を罰するのではなく、静かになった瞬間を強化して「静かに=良いこと」を教える。
号令:(解除語)OK / ブレイク
ドアを開けても飛び出さず、解除語で落ち着いて出る。ハウス(入る)の対になるスキル。車・玄関・クレートからの“飛び出し事故”を防ぐ。
号令:待って
玄関・門・エレベーターの前で、ドアが開いても勝手に出ない。脱走・交通事故・来客への突進を防ぐ、命を守る生活マナー。
号令:乗って / 降りて
号令で車に乗り、許可があるまで降りない。通院・旅行・災害避難の必須スキル。車を“怖くない・酔わない場所”にすることも含む。
号令:ベッド / おうち
離れた自分のベッド/マットへ行き、解除まで伏せて落ち着いて待つ。来客・食事中・宅配対応など“その場から動いてほしくない場面”の決定版。プレイスと落ち着いてを組み合わせた実用形。
号令:Gentle / そっと
手からおやつを“歯を当てずに”やさしく受け取る。子ども・高齢者のいる家庭で指を噛まれる事故を防ぐ。給餌やトレーニング全体の安全マナー。
号令:あご / チン
手のひらや膝にあごをのせて静止する。点眼・耳掃除・診察を“犬が自分の意思で受ける”ための土台。あごを離せば中断できる=犬に主導権を渡す協調ケアの中心。
号令:あんよ / フット
前足・後足を自分から差し出して保持させる。爪切り・足ふき・肉球チェックを嫌がらず受けさせるための協調ケア。お手(trick)と違い“出して保つ”ことが目的。
号令:ヨコ
合図で横向きに寝そべり、体を預けて静止する。診察・肛門腺・お腹や後ろ足のお手入れ・心音チェックが格段に楽になる、協調ケアの主役級スキル。
号令:のって
低い台やマットに自分から乗り、その上で待つ。体重測定・トリミング台・足ふきの定位置・順番待ちに便利。動いてほしくない場面の“安心ポジション”。
号令:くち
口輪(マズル)に自分から鼻を入れ、装着を受け入れる。通院・処置・災害時・他犬との安全確保に。正しく慣らせば“嫌な道具”でなく“良いことの合図”になる。
号令:Shake / お手
差し出した手に前足をのせる定番の芸。教えやすく成功体験を作りやすいので、最初のトリックに最適。人との関係づくり・挨拶にも。
号令:おかわり
お手と反対の前足を出させる。お手とセットの定番。左右の足を区別して出せるようになり、芸の幅と体の協調性が広がる。
号令:Spin / クルッ
その場で一周回るトリック。教えやすく達成感があり、ウォームアップや気分転換にも最適。最初のトリックの定番。
号令:Roll over / ゴロン
ふせから横に一回転する人気トリック。お腹を見せられる=体を触られる信頼にもつながる。
号令:High five / ハイタッチ
立てた手のひらに前足をパチンと当てる。お手の応用で見栄えがよく、挨拶芸に。
号令:Wave / バイバイ
前足を宙で振る「さようなら」の芸。お見送りや撮影に映える。
号令:Bow / おじぎ
前足を伸ばし胸を床に下げ、お尻は上げたままお辞儀する芸(プレイバウの形)。撮影映え&軽い準備運動にも。
号令:Bang / バーン
「バーン!」の合図で横たわって動かない定番の芸。指鉄砲との組み合わせが人気。
号令:Beg / ちんちん
おすわりから両前足を上げてバランスをとる芸。可愛らしさ抜群の定番。
号令:Speak / おはなし
合図で1回吠える芸。「静かに」とセットで教えると、吠えのオン・オフを管理する練習にもなる。
号令:Back / バック
合図で後ろ向きに数歩下がる。芸としても、玄関や狭い場所で下がらせる実用としても便利。
号令:Find it / さがせ
嗅覚で隠したおやつや物を探す“ノーズワーク”。頭と鼻をたっぷり使うので、退屈・ストレス・雨の日の発散に最適。
号令は日本語でも英語でも構いません。大切なのは、家族全員が同じ言葉と同じ手の形を使うことです。ハンドサインは、おやつで誘導した手の動きがそのまま合図になります。
| コマンド | 号令 | ハンドサイン |
|---|---|---|
| 土台・基本の姿勢 | ||
| マーカー土台スキル | Yes(またはクリッカー) | なし |
| 解除土台スキル | OK / フリー / ブレイク / ヨシ | |
| 名前土台スキル | (犬の名前) | なし |
| アイコンタクト土台スキル | Watch / 見て | |
| タッチ土台スキル | Touch / タッチ | |
| おすわり基本の姿勢 | Sit / おすわり / スワレ | |
| ふせ基本の姿勢 | Down / ふせ | |
| たて基本の姿勢 | Stand / たて / スタンド | |
| 生活・がまん・おさんぽ | ||
| まて待つ・とどまる | Stay / まて | |
| 待って待つ・とどまる | Wait / 待って | |
| プレイス待つ・とどまる | プレイス / マット | |
| 落ち着いてがまんを教える | Settle / 落ち着いて / リラックス | 通常なし。穏やかに手を下ろす、または号令語のみ。 |
| おいで呼び戻し | Come / おいで | |
| やめなさいがまんを教える | Leave it / やめなさい | 特になし(主に声)。状況によりブロックする手。 |
| 出してがまんを教える | Drop it / 出して | おやつを差し出す手(厳密な定型サインはなし)。 |
| オフがまんを教える | Off / オフ / オリテ | 通常なし。背を向けるボディランゲージが鍵。 |
| ゆるリードおさんぽマナー | Let's go / 行こう | 歩いてほしい位置(脚の横)を軽く叩く(任意)。 |
| ヒールおさんぽマナー | Heel / ヒール / つけ | |
| トイレ生活スキル | ワンツー / トイレ | なし |
| ハウス生活スキル | ハウス | |
| 飛びつかない挨拶がまんを教える | なし(飛びつかない“デフォルト行動”。座って出迎えさせる時は「すわれ」) | なし |
| ちょうだいがまんを教える | Give / ちょうだい | |
| もってきて生活スキル | Fetch / もってきて / とってこい | 物を投げる動作そのもの。 |
| 静かに生活スキル | Quiet / 静かに / シー | |
| クレートから出る生活スキル | (解除語)OK / ブレイク | 開けた手のひらを犬の前にかざして「待って」、解除で手を引く。 |
| 玄関でまて待つ・とどまる | 待って | |
| 車の乗り降り生活スキル | 乗って / 降りて | |
| ベッドで待機待つ・とどまる | ベッド / おうち | |
| そっとがまんを教える | Gentle / そっと | |
| 協調ケア(お手入れ・通院) | ||
| あご乗せ協調ケア | あご / チン | |
| 足を出す協調ケア | あんよ / フット | 手のひらを下に出して足を受ける形を作る。 |
| 横になる協調ケア | ヨコ | 「ふせ」から、鼻先のおやつを肩越し・床方向へ動かして体を横へ倒す。 |
| 台に乗る協調ケア | のって | |
| 口輪に慣らす協調ケア | くち | 口輪を差し出す(中におやつを塗る/入れる)。 |
| トリック・芸 | ||
| お手トリック・芸 | Shake / お手 | |
| おかわりトリック・芸 | おかわり | |
| おまわりトリック・芸 | Spin / クルッ | 鼻先におやつ(または空の手)を近づけ、円を描くように回す。 |
| ゴロントリック・芸 | Roll over / ゴロン | ふせの状態で、鼻先のおやつを肩〜背中側へ回す。 |
| ハイタッチトリック・芸 | High five / ハイタッチ | |
| バイバイトリック・芸 | Wave / バイバイ | |
| ごあいさつトリック・芸 | Bow / おじぎ | 立った状態で、鼻先のおやつを前足の間からまっすぐ下へ。 |
| バーントリック・芸 | Bang / バーン | |
| おねだりトリック・芸 | Beg / ちんちん | 鼻先のおやつを、犬の頭の少し上へ持ち上げる。 |
| おはなしトリック・芸 | Speak / おはなし | |
| バックトリック・芸 | Back / バック | |
| さがせトリック・芸 | Find it / さがせ | |